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エロゲー感想者 とある社会人 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
手毬花(TOPCAT/2011-4-28) |
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主人公・小虎は気がつくと、古めかしいバスに 乗っていた。車内には小虎の他に数人の姿しかない。 行き先は全寮制の学園——群雲学園。 山道が険しいのか、それともタイヤがお粗末なのか、 バスはゴトゴトと小石を踏む音を立てながら、 小刻みに揺れ続ける。 人里から遠く離れていくんだな、と小虎は なんだか心が軽くなったような気がした。 不意にバスが速度を落とし停車すると、 新たに女の子が数人乗車してきた。 最初に乗ってきたのは、綺麗な銀髪の、 冷たい目をした少女だった。 「あなた、初めて見る顔ね? 転入生?」 その言葉に応じた小虎に対し、何が悪かったのか、 少女は舌打ちを返してくる。 信じられないような言葉を吐き捨てる少女に対し、 小虎は目を丸くして、その場に固まることしか 出来なかった。 “夢” と “幻” が混濁する幻想的な学園で 紡がれる少年と少女の物語。 切なく、儚い恋の行く先で待つ結末は——。 |
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上質な(大人向けの)絵本 シナリオライター鷹取兵馬がおくるコミカルとシリアスが入り混じったミステリアスな物語。 ただ今回TOPCATの代表作『果てしなく青い、この空の下で』のような展開や世界観とは異なります。 別ブランドでシナリオを担当された『ふぇいばりっと Sweet!』のようなアップテンポな 日常ノリの共通シーンがあるものの中盤あたりには実は…… な隠された設定が明かされ始めます。 今回主人公は成長過程での純粋さ、悪く言えば幼く弱いどこか主要人物(ヒロイン) たちに保護された状況が続きます。 純粋な面を持ち合わせているからこそ惹かれあう事があり精神的に寄り添い合えるといった 本ゲームでの主人公の立ち位置(役割)もあるもののどこか受動的です。 物語の舞台を田舎学園としながらも学校内でのオカルトめいた怪談話や敷地内に入り込んだ迷い人 2人の学園長の存在と寮と下宿という二つの学生たちの宿泊先の存在 そして下宿の管理人さくらの存在不可思議な状況が絡み合い 固有シナリオを解く毎に物語の真相へと主人公は踏み込んでいく事になります。 (兼ね役のある登場人物たちが同一人物だったという分かり易い真相では有りません) 会話のテンポは全体的に良く萌え担当の美衣・小鈴とツン担当の依菜里とジミ担当の眞美留 変態担当の牡丹と下ネタ振り担当のべるがと登場人物たちもバラエティ豊かな性格付けです。 扱うテーマがある壮大なオマージュの為に物語の後半になるにつれてシリアスになりがちなものの 牡丹とべるがからの話題の振りが雰囲気をぎりぎり崩さない程度の和み要素になっています。 公開されているCGからも分かるとおり牡丹はかなり濃い変態担当を演じているので その理由経緯が分かるまでヒロインとして受け付けがたい印象を受けるかもしれません。 ベルガの下ネタ振りも男体育教師系的な濃さがあるので田舎のほのぼのした純愛要素を求めていると 違和感や引く可能性もありますので体験版ダイジェストでゲームの雰囲気のお確かめを。 上質な(大人向けの)絵本と称するのがシナリオのネタバレを伏せると相応しいのではと思われます。 学園長からの訓示めいた話が各ルートで付きまといつつも 固有ルートで選んだヒロインとの絡みを通して 自分たちの在り方を見直しエンディグのパターン。そして大円団。 但しエロを挿んだ演出は主人公とヒロインとの関係を考えた上で必要な演出だったのかもしれませんが 本作品にシナリオ上のエロが必要かと問われれば依菜里との絡み以外は必要なく “フルプライス”で“エロゲー”として出したいが為に付加された印象が非常に強く感じました。 大量のCGや効果的な音響を使い演出面での拘りが有り適切なキャスティング の配役さんがたの役作り取り組みもあり シナリオにおいても本編において明かされる真相を含め良い出来ではあると思います。 ですがあくまで本作は元々原典のあるものを登場人物変化させ巧く模倣したに過ぎず 企画の着眼点は良かったものの本来描くべき独自の世界観の存在が見えません。 こういったことから本作を私は5点付けとさせて頂きました。 とはいえ主要人物たちには隠された設定が有り一度オールクリアした後に 名前や人物紹介の好きなものと嫌いなものを眺めるとヒントが隠されていたことが分かり プレイ後の考察・洞察ができるといったクリアならではの楽しみは用意されています。
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『果て青』や『アトリ』の方向性とはまた異なる往年のTOPCAT作品が好きな方へ。 但しオリジナル要素が少なく世界的に有名な原典の内容でストーリーが成り立っている為に結末が読めます エロ要素を求めてる方は小鈴を筆頭に状況エロにこだわったシーンが楽しめます。 隠語乱発の狂おしいような熱さはなくシーン数少なめシーン開始も終盤においてですが この作品でしか味わえないエロが表現されています。(体験版でもダイジェストで少し有り) |